最高裁判所第三小法廷 平成7年(オ)48号 判決 1997年10月14日
上告人
杉山俊一
右訴訟代理人弁護士
林千春
被上告人
東都観光企業株式会社
右代表者代表取締役
宮本繁樹
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人林千春の上告理由について
一 本件は、上告人が、被上告人の経営するゴルフ場である東都飯能カントリー倶楽部(以下「本件ゴルフ場」という。)の個人正会員となる旨の入会契約の債務不履行による解除又は錯誤無効を主張して、被上告人に支払った入会金三〇〇万円及び預託金一九〇〇万円の返還を求める事案である。
二 上告人は、被上告人が本件ゴルフ場施設を利用可能な状態にした上でこれを上告人の利用に供すべき債務の履行を遅滞したことが本件入会契約の解除事由又は錯誤無効事由に当たると主張するので、まずこの点について検討する。
1 右の点に関する原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
(一) 上告人は、昭和六二年五月八日、被上告人との間で、本件ゴルフ場の第一次個人正会員の募集に応じて本件入会契約を締結し、被上告人に対して入会金三〇〇万円及び預託金一九〇〇万円を支払った。本件入会契約当時、本件ゴルフ場は建設工事中であり、募集パンフレットには「完成昭和六三年秋予定」と記載され、平成元年に開場することが予定されていたと認められる。
(二) 本件ゴルフ場の建設工事は遅延し、平成元年中には開場することができず、コースの芝張りが完了したのは同二年一二月ころ、ゴルフコース及びクラブハウスが完成したのは同三年三月ころであった。遅延の原因は、調整池予定地の買収ができなくなり別の場所に調整池を設置せざるを得なかったこと及びゴルフ場につながる道路の拡幅工事についての用地買収が遅れたことなどであった。
(三) 被上告人は、コースの芝張りを終えた平成二年一二月ころ、本件ゴルフ場の会員あてに「平成三年四月末までにすべての工事を完了し、芝の成育を待って同年の梅雨明けにオープンしたいと考えている」旨を通知した。
(四) 被上告人は、平成三年七月二五日、視察プレーの名目で、会員のみの利用としビジターの同伴を認めず、スタート時刻も午前一〇時からとして、本件ゴルフ場の営業を開始し、同時に会員の名義書換えも開始した。ビジターの同伴を認めず、スタート時刻を午前八時からとしなかったのは、埼玉県から、工事完了検査済証の交付を受けてから開場してほしい旨の行政指導を受けたためである。
(五) 上告人は、平成四年二月一日、被上告人に対し、債務不履行を理由に、本件ゴルフ場の入会契約を解除する旨の意思表示をした。
(六) 被上告人は、平成四年七月六日、本件ゴルフ場の工事完了検査済証の交付を受け、ビジターの同伴を認め、スタート時刻を午前八時からとして、本件ゴルフ場を正式に開場した。
2 右事実関係に基づいて検討する。
(一) 確かに、上告人が解除の意思表示をした平成四年二月一日の時点においては、被上告人は、上告人ら会員に対して、ビジターの同伴を禁止するなど視察プレーの名目の下における制限的な利用を認めていたにとどまるから、これをもってしては、いまだ、本件ゴルフ場施設を利用可能な状態にした上でこれを上告人の利用に供すべき債務について、その本旨に従った履行を開始したものということのできないことは論旨の指摘するとおりである。
(二) それでは、本件入会契約においては、いかなる時期に本件ゴルフ場の完成が約されていたかを考えると、一般に、本件のようにゴルフ場の建設工事中の時点において、将来における完成、開場を見込んでこの種の契約が締結された場合において、履行期を記載した契約証書も作成されておらず、募集パンフレットに「完成昭和六三年秋予定」等という記載があったにすぎず、入会契約当時においては平成元年に開場することが予定されていたと認められるというような事情のあるときは、その履行期は早くとも、平成元年以後であって、その後のゴルフ場建設工事の進ちょく状況並びに当時の社会経済状況に照らして、右工事の遅延に関して予想される合理的な遅延期間が経過した時という、かなり幅のある弾力的なものであったとみるのが相当である。その意味では、右の履行期はいわば不確定期限というべきものであるが、全く未確定のものではなく、当初予定されていた時期より合理的な期間の遅延は許される限度のものであったということができる。
(三) けだし、一般にゴルフ場建設工事は、用地買収等に思わぬ長期間を要したり、予期し得ない自然的要因や技術的要因などによって建設工事に予定以上の期間を要することは珍しくなく、当初予定の期間内に建設工事が完成しないこともあり得ることが十分に予想されるところ、実際にも、本件契約が締結された昭和六二年当時の我が国においては、建設工事中に将来の完成を見込んで会員募集が行われたゴルフ場についてその開場が当初の予定よりも数年程度遅れることが常態化していたのに対し、この種の募集に応募して入会契約を締結する側においても、将来の会員権の値上がりを期待して、ゴルフ場の開場が確かであれば、その時期の遅れはあまり厳格に考えないのが一般であったことは公知の事実であって、上告人が特にその例外であったとの事情は認められない。
(四) ところで、前記認定の事実によれば、本件ゴルフ場の建設工事は、現実に、調整池予定地の買収ができなくなり別の場所に調整池を設置せざるを得なかったこと及びゴルフ場につながる道路の拡幅工事についての用地買収が遅れたことなどが原因で遅延したのであるが、その後の努力により工事が進ちょくし、上告人が解除の意思表示をした平成四年二月一日には既に視察プレーの名目の下における営業が開始され、近々債務の本旨に従った履行がされることがほぼ確実に見込まれるまでになっていたというのであって、これらの事実に照らすと、右の解除の意思表示の時点においては、右債務の履行期が既に到来していたものと断ずることはできない。
3 以上によれば、上告人の履行遅滞による解除の主張は理由がないものというべきであり、また、この点についての錯誤無効の主張も理由がないことが明らかである。
三 次に、上告人は、被上告人が、本件ゴルフ場について、各ホールの高低差が一〇メートル以内のフラットなコースで、かつ、プレー的魅力があり戦略性に富む名門コースとし、さらに、敷地を一〇〇パーセント社有地とする旨の債務を履行しなかったこと(不完全履行)を、本件入会契約の解除事由又は錯誤無効事由として主張するので、この点について検討する。
1 右の点に関する原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
(一) 本件ゴルフ場の募集要綱にはコースの高低差についての記載はなかったが、募集パンフレットには高低差一〇メートル以内のフラットなコースとする旨の記載があった。もっとも、パンフレット裏面の全一八ホールについてのコース断面図には、一五メートルの高低差のあるホールも四つ記載されていた。
(二) 本件入会契約後、用地買収の失敗のため調整池の設置場所が変更されたことなどから、本件ゴルフ場のコースレイアウトは変更され、コース完成時点においては、高低差二〇メートル以上のホールが下り、上りとも各四ホール存在し、高低差が最大のホールは下り四一メートルであった。
(三) 本件ゴルフ場の募集要綱には、ゴルフ場の用地は一〇〇パーセント社有地と記載されていたが、コース完成時点においては、敷地の五パーセント弱が借地であった。
2 右事実関係に基づいて検討する。
(一) 本件ゴルフ場の募集パンフレットに高低差一〇メートル以内のフラットなコースとする旨の記載があったことからすると、各ホールの高低差等のコースレイアウトの内容がおよそ本件入会契約の内容とならないということはできない。しかしながら、本件入会契約においては、高低差等のコースレイアウトについて契約証書において図面等に基づき詳細な合意がされたものではなく、募集パンフレットには、高低差一〇メートル以内のフラットなコースとする旨の記載がある一方で、コース断面図には一五メートルの高低差のあるホールも記載されていたことなどからすると、その契約内容は、全ホールについて高低差一〇メートル以内とするものではなく、できるだけ高低差が少なく全体としてフラットといい得るコースを作るというにとどまるものというべきである。
そして、本件ゴルフ場完成当時において、全一八ホール中過半数のホールが高低差二〇メートル未満であったことなどからすると、前記事実関係によっても、被上告人に本件ゴルフ場の高低差等のコースレイアウトの点に関する債務不履行があるとまではいえないというべきである。
(二) また、プレー的魅力があり戦略性に富む名門コースとするというだけでは、法律上の債務というには具体性がなく、この点についての債務不履行を認める余地はないというべきであるし、募集要綱に一〇〇パーセント社有地という記載があっただけでは、敷地の一部に借地があることのみをもって解除原因となるものでもないというべきである。
3 以上によれば、上告人の不完全履行による解除の主張は理由がないものというべきであり、また、この点についての錯誤無効の主張も理由がないことが明らかである。
四 そうすると、上告人の本件請求を棄却すべきものとした原審の判断は、その結論において正当であり、論旨は、すべて採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官園部逸夫 裁判官千種秀夫 裁判官尾崎行信 裁判官山口繁)
上告代理人林千春の上告理由
第一 原判決には、債務不履行による解除の判断につき、判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違背がある。
一 原判決は、上告人による本件ゴルフ場会員契約(以下、本件契約という)の債務不履行を理由とする解除の主張に対して、これを理由がないとする。
原判決の右認定の理由とするところは、①本件ゴルフ場の開場の遅れは、二年位であって、社会通念上相当として是認される程度を越えるような著しい遅延ということは出来ず、②本件ゴルフ場の高低差については、債務不履行があったとはいえない、③用地の所有関係については、若干の借地部分が入っていたからといって、債務不履行となるものではない、との内容のものである。
しかしながら、右の事実認定は、経験則と証拠法則に違背するものであり、債務不履行及びこれを理由とする解除の規定の適用を誤ったものと言わざるを得ずかつ判決に影響を及ぼすこと明らかなものである。そこで以下、右認定に添って、完成・開場の遅延、コースレイアウト(コースの高低差)、用地の所有関係の各点について、原判決の判断の違法を指摘することとする。
二 完成・開場の遅延について
ゴルフ場の完成・開場の遅延についての原判決の判断は、「ゴルフ場の開場が当初の予定時期よりある程度遅れるのは入会者の方でも当然予期すべき事態であることからすれば、ゴルフ場の開場の遅延を債務不履行として入会契約を解除するためには、それが社会通念上相当として是認される程度を越えるような著しい遅延であることが必要である」とした上で、「本件ゴルフ場は、当初、平成元年頃に開場が予定されていたと認められるところ、平成三年七月二五日には開場しているのであるから、その遅れは二年位であって、社会通念上相当として是認される程度を越えるような著しい遅延ということはでき」ないとするものである。
しかしながら、右認定は、まず開場予定時期と開場の時期及び遅延の期間について本件各証拠の証拠判断を誤っていると言わなければならない。また、ゴルフ場建設が広大な用地の買収、開発許可等の取得、住民・自治体との調整等の種々の要因から必ずしも募集時に明記した時期までに完成・開場できるものではなく、かつ会員の側においても予期すべきものだとしても、本件の遅延は、社会通念上是認される程度を越えているものと考えられるのである。
(一) 原判決は、当初の開場予定時期を「平成元年頃」と認定するものである。この認定からは、はたして原判決が平成元年のいつ頃を開場予定時期と想定したのかは明らかではない。しかしながら、被上告人が平成二年一二月会員に送付した写真ニュースにおいて工事の完了予定と開場(オープン)をそれぞれ平成三年三月と平成三年梅雨明けと明記していたことからすると、工事完了と開場との間隔は三か月ないし四か月のものと推定されるのであり、原判決の想定する開場予定時期は、当初被上告人が宣伝していた昭和六三年秋から三か月ないし四か月後の平成元年一月か二月頃と推認される。
そして、仮に右の平成元年一月もしくは二月が開場予定時期だとしても、原判決が認定する平成三年七月二五日の開場までには、約二年半の遅延が認められるのであり、また上告人の主張する平成四年七月六日の開場との関係では、約三年半の遅延が存在することになるのである。
(二) 次に開場の時期について原判決は、右の通り平成三年七月二五日とするのであるが、誤った証拠判断というべきである。
すなわちゴルフ場は、行政手続上は行政許認可庁が工事完了検査済証を交付して初めて開場と認められるのであり、本件でも埼玉県は平成四年一月頃の上告人からの問い合わせに対して、本件ゴルフ場は、進入路の未開通等の理由により工事完了検査が未了であるので営業目的の開場は認めていない旨回答している。
また上告人自身、平成三年七月二五日より会員にのみプレーを許したものの、これを「視察プレー」と称し、時間や人数を制限して利用を認め、平成四年七月六日以降のプレーと区別していた。
そして本件ゴルフ場の会員が、通常のゴルフ場のスタート時間と同様の時間からプレーを開始出来るようになりかつビジターを同伴して利用可能となったのは、平成四年七月六日以降である。
いうまでもなくゴルフ場の開場時期は、入会契約後の施設利用の開場時期に関する最も重要な事柄であり、入会契約の内容を成すものであるから、その判断は、あくまでも施設利用者の利用と便宜が充分にはかられたか否かをもってなされるべきものである。そうすると、平成三年七月二五日以降のいわゆる「視察プレー」の段階においては、利用時間、人数に制限があり、かつコースの一部は工事中であるのみならず、芝の育成その他のコース整備が続けられていたのであるから、本件ゴルフ場は入会者の利用に充分なものとは言えず、未だ開場に至ったものではないと認めるべきである。
本件では、上告人ら会員が、通常の開始時間である午前八時からプレーが出来るようになり、かつビジターを同伴してプレーが可能となったのは、被上告人が工事検査済証の交付を受けた平成四年七月六日であるが、ここにおいて開場の存在を認めるべきである。
(三) 次に開場の遅れについては、原判決は二年位は許されるとするが、これも社会通念及び経験則に照らして不当な判断と言うべきである。
二〇〇〇万円以上もの高額の入会金預託金を取得しておきながら、長期にわたって施設の利用を待たせることは、社会通念上も許されるものではない。ゴルフ場の開場が遅延するのは、ゴルフ場の建設の特殊性を考慮するならば一定程度は許容されるものであるにしても、その遅れは一年ないし一年半をもって上限とすべきものである。
三 コースの高低差について
原判決は、ゴルフ場の高低差等のレイアウトが入会契約の内容を成すものではないとしながらも、「変更後の高低差が極めて大きく、ゴルフコースとしての通常の利用が著しく困難になるような場合にはそれが入会契約上の債務不履行を構成する場合もあると考えるが、本件ゴルフ場は多少高低差はあるものの、一般のゴルフプレーヤーが普通に利用可能なゴルフ場であると認められる」として、被上告人の債務不履行を否定するのである。
しかしながら、そもそもコースレイアウトが入会契約の内容ではないとする右認定は、社会通念に照らしても非常識な判断と言わざるを得ない。
被上告人は、本件ゴルフ場の会員募集に際して、「高低差は、僅か一〇メートル以内」と宣伝し、その後のパンフレットにおいても、コースの高低差を最大一五メートルに押えたと明記したのであって、上告人は被上告人による右の説明を信頼し、これを一つの要素として本件ゴルフ場の会員契約を締結することとしたのである。
ところで社会通念上もゴルフコースの価値は、そのレイアウト(コース幅、高低差等)によって左右され、特に高低差についてはアップダウンのあまりにも著しいコースは、コース内及びコース間の移動に際して、プレーヤーに肉体的な負担を強いるため嫌われるのが通常である。このため、開場前のゴルフ場会員募集に際しては、コース位置、広狭、高低差等を示す予定図面が開示され、申込者は、これを重要な判断資料とするのである。
従って、会員契約それ自体の文言中に直接の説明や記載がないからとして、コースレイアウトが契約とならないとは言い得るものではなく、契約と同時に開示されるコースレイアウトは、契約の一部をなすものと認めるべきである。そして、本件の高低差は、当初のレイアウトとの差が、許容される限度を越えたものであるので、これも被上告人の債務不履行事由とすべきなのである。
四 用地の所有関係について
原判決は、「用地に若干の借地部分が入っていたからといって、入会契約上の債務不履行になるものではないことは明らか」として、特に理由を述べることなく、債務不履行事由となることを否定する。
しかしながら、右認定は、被上告人において募集要項にわざわざ「一〇〇パーセント社有地」と明記していることを全く無視する点においてまず不当違法である。のみならず、ゴルフ場用地に一部でも借地が存在する場合、借地法の適用がないことからしても、用地関係につき不安定要因が存在することになり、施設を利用させる側に一定の義務の違背を認めるべき点を考慮すべきであるのにこれを認定しない違法があると言わなければならない。
第二 原判決には、入会契約の締結における錯誤の有無の判断につき、判決に影響を及ぼすべきことの明らかな法令の違背がある。
一 原判決は、上告人の錯誤の主張につき、開場の遅延、本件ゴルフ場の高低差等、用地の所有関係のいずれにおいても要素の錯誤ということができないとするのである。
しかしながら右の認定も錯誤規定の適用と解釈を誤ったものと言わざるを得ず、かつ判決に影響を及ぼすこと明らかなものと言わなければならない。
二 判例は、「意思表示の内容中錯誤ある部分に関する表意者の利益を考量し、当該の場合について合理的判断を下すも其錯誤なかりせば表意者が其意思表示を為さざるべかりしものと認めらるる場合に於て法律行為の要素の錯誤が存在する」と判示する(大判大三・一二・一五民録二〇―一一〇一)。
これを本件についてみるに、本件入会契約時に上告人は、
① 本件ゴルフ場は、昭和六三年秋には完成するもの
② コースはフラットであり、コースの高低差は一〇メートル以内であるもの
③ ゴルフ場用地は、一〇〇パーセント被上告人の所有地であるもの
④ 被上告人の東都自動車グループは、他にもゴルフ場を経営するとともに女子プロゴルフのトーナメントを開催するなどしているところ、戦略性に富む名門コースとなるものを造るとのふれ込みであったので、ゴルフ場としてプレー的価値のあるものでありかつ会員権も資産的価値の認められるものであるもの
と考え、入会契約を締結するに至ったものである。
従って、右のごとき性状を備えておらず、ゴルフ場の完成が約三年半以上も遅延し、かつ完成したゴルフ場の高低差がフラットなどとは到底言い得ないものであり、さらに用地の一部に借地が存在することに加えて、コース自体プレー的にも資産的にも価値を認め得ないものであること等の事情がある本件では、その錯誤がなかったならば契約をしなかったであろうと認められるのである。
しかるに原判決は、ゴルフ場の会員となろうとする者の特殊性、すなわちゴルフ場の開場時期やレイアウト、用地の所有関係などの当該ゴルフ場の特定の性質に着目して契約を締結するものである点において、また被上告人が募集要項等において右の特定の性質等について明示しまさに保証したと同視し得るような説明をしたと認められる本件の諸事情について、格別の判断を怠り、この結果錯誤の適用と解釈を誤ったものであると言わなければならないのである。